昨日、『アーティスト』を観てきた。
18日で上映が終わってしまうので、慌てて観に行った。
アカデミー賞発表後は観たいなーと思っていたのだけど、こんなに遅くなったのは、正直なかなか足が向かなかったから。
サイレント映画を観たことがなかったと思う。
ずいぶん前に黄金狂時代をなんとなく観たことあったかな。
だから楽しめるのかなぁ?と不安だった。
予告の終わりに滑り込みで間に合った。観客はまばら。
クラシカルなクレジット。
モノクロ。
美しくて、古い印象の音楽。
そして、時々、字幕が出る。
あらすじもろくに知らなかったので、フランスが舞台のフランス映画だとばかり思っていたけど英語字幕。
舞台はハリウッドだから当然である。
脇を固める俳優さんたちのキャスティングがすごくいい。
例えば、主役のジョージの運転手役がジェームズ・クロムウェルとか、
ヒロインのメイド役がベス・グラントだとか。
ハリウッド映画を観ていれば必ずあれ?この人!と思うような印象深いベテラン俳優たち。
『時計じかけのオレンジ』の主役も出ていた。
唯一観たことのないのは、主役のジョージ役ジャン・デュジャルダンだったかもしれない。
でも、このジョージの魅力的なことと言ったら!
100分間飽きることなく、笑いあり涙ありで、幸せな気持ちでいっぱいになった。
『映画へのラブレター』として作られたというこの映画。
観ながら、映画はどこへ行くんだろう?という疑問が湧いた。
サイレントからトーキーへ、そして3D。
『アーティスト』は成功したかもしれないけれど、だからってサイレント映画が量産されるはずもない。
90年代後半ぐらいに、ハリウッド映画がつまらなくなった、なんて拗ねていた。
もともとSFとかファンタジーが好きなジャンルでなかったのもあり、そのころもてはやされたVFXのすごさにあまり感動もしなかった。
それこそ、サイレントからトーキーに移行する映画に、『そんなものに未来はないよ』と言ったジョージみたいに。
だけど、いまや日本映画も3Dで公開される時代。
地味な洋画は公開されない。
そんな時代にこのサイレント映画が、アカデミー賞をかっさらった。
映画を観終わったときにじみじみと思った。
この映画が、アカデミー賞作品賞で、よかった。
こんなことを言うと、当然だとお叱りをうけるかもしれないけど、ハリウッドの映画人は映画を愛しているんだ、と。
私にとって映画は単に消費されてくだけのものではなくて、果てなく続いてくひとつの広い道みたいなもの。
その道には色んな景色があって、ドキュメンタリーなんかを除けば全て幻想の世界。
だから、映画をみるとき、私は大きな幻想の途中にいるんだ、と思う。
それは、1本の映画のエンドロールが終わっても、死ぬまで続くんだ。
なんて幸せなことだろう。
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